あらすじ

あらすじ 社会を震撼させた放火殺人事件の犯人・月森剛は、職場で悪質なイジメを受け続けた末、同僚3人を焼死させた罪で逮捕され、長い裁判の末に死刑が確定する。反省の色もなく、「当然の報いだった」と言い放つ月森は、死刑囚として無機質な独房で日々を過ごしていた。 彼を担当する年配の刑務官・佐久間良一は、当初は感情を交えず職務にあたっていたが、月森の静かな語りと、意外なほど弱々しい後ろ姿に、次第に人間としての影を感じ取るようになる。 交流を重ねる中で、月森の中にもわずかながら「別の方法があったかもしれない」という悔いの芽が芽吹きはじめる。 死刑執行の日、月森は「キリストのように、十字架を背負って歩きたい」と願い出る。 執行場へと向かう長い廊下、震えることなく静かに歩む彼の後ろ姿に、佐久間は「とても凶悪犯には見えない」と胸を突かれる。 刑の執行後、夕陽に染まる独房を見つめながら、佐久間は「別の方法はいつだって、あとから見えるものかもしれん」とつぶやく。 灰ではなく、静かな余熱のように、ひとりの死刑囚が残した影が、彼の胸に残り続けていた。

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エブリスタ2025/07/09
  • 現在の作品後ろ姿の赦し