あらすじ
こんな恋も、こんな自分も、もう嫌だった。
スマホの電源をoffして、自宅とは逆方向の電車に飛び乗る。
情報も地図もない、五感だけが頼りの一人旅が始まった。
偶然降りた温泉街で、熱すぎる湯に浸かりながら、
心を絡めていた糸が少しずつほどいていく。
カプセルホテルの秘密基地のような安心感、
朝のテラス席で出会ったおじさまとの静かな会話。
誰にも見せない朝食、本屋での“ジャケ買い”、
球場での大歓声と、冷えたビールと、知らない人とのハイタッチ──。
名前も知らない誰かとの一度きりの出会いが、
スマホにも、恋にも、人にも依存していた“私”を、少しずつ変えていく。
これは、自分を取り戻すための、小さな冒険の物語。