あらすじ
主人公である「僕」は、幼い頃から喫茶店「めぐる」のマスターのうしろ姿に特別な安らぎを感じ、その常連となる。
黙々とコーヒーを淹れるマスターの背中は、僕にとって人生の節目節目で変わらない心の拠り所だった。店の前の桜の木を大切に育てるマスターとの間に、桜を通じた温かい交流が生まれる中、マスターは「この桜は、私にとっての道のりだ」と語る。
しかし、ある冬の日、マスターが体調を崩し、娘が店を手伝うことになる。当たり前だったマスターのうしろ姿が見られない寂しさと、店がなくなるかもしれないという不安に、「僕」は初めて彼の存在の大きさを痛感する。失意の中、再び春が訪れたある日、「僕」はカウンターに立つ見慣れた「うしろ姿」を目にする。病から回復したマスターの姿に、僕は安堵と喜び、そして感謝の涙を流す。
満開の桜の下で、再びマスターのコーヒーを味わいながら、「僕」は彼が戻ってきてくれたことの奇跡をかみしめる。マスターと「僕」の心温まる物語。