あらすじ

小江戸・川越の観光地化された雰囲気に辟易し、イヤホンで心を閉ざす高校二年生の相沢凛。彼女の退屈な日常は、歴史オタクのクラスメイト・佐伯奏太が持ちかけてきた「時の鐘」に関するレポートの手伝いをきっかけに、大きな転機を迎える。奏太はレポートのため、時の鐘の元名物ガイドで、今は気難しく心を閉ざしている凛の隣人・鈴木さんへの取材を計画していた。案の定、二人は鈴木さんから門前払いを食らう。 鈴木さんは十年前、市の貴重な郷土資料を多数紛失したという噂のせいで、ボランティアを辞め、人との交流を絶っていた。奏太は噂を信じ落ち込むが、凛はどこか腑に落ちない。同じ頃、凛は自宅の蔵で、祖父の親友・宮田健が五十年前の未来へ宛てた『タイムカプセル・レター』を発見する。そこには、川越の未来を想う純粋な言葉が綴られていた。健が鈴木さんの親友でもあったことを知り、凛の中で二つの謎が繋がり始める。 凛は、鈴木さんの噂の真相を探るため、彼が毎朝参加しているラジオ体操の集まりに奏太と共に向かう。そこで出会った古老から、鈴木さんの亡き妻が「あの人は、街の宝を守るために一人で泥をかぶった」と話していたことを聞く。凛と奏太は、鈴木さんが資料を「紛失」したのではなく、市の乱暴な再開発計画から「守った」のだという仮説を立てる。 確信を得た二人が再び鈴木さんの家を訪れ、その仮説をぶつけると、ついに鈴木は重い口を開いた。彼は市のずさんな管理から資料を守るため、独断で安全な場所へ運び出したこと、しかしその行動が「紛失」として内部告発され、街への愛とプライドから弁解せずに全ての非難を受け入れたことを告白する。そして、資料を隠した場所が、親友・健との思い出の場所であり、宅地開発で今はもうない「天狗山」だったことを明かす。 唯一の手がかりは、健がタイムカプセルを埋めた際に描いた「宝の地図」。「山のお地蔵様」という記述を頼りに、開発後の住宅街に残されたお地蔵様を突き止める。三人は公園の管理事務所の許可を得て土を掘り、ついに十年ぶりに日の目を見る桐の箱(郷土資料)と、五十年前に埋められたブリキの缶(タイムカプセル)を発見する。二つの宝物を手にし、鈴木さんは長年の呪縛から解放され、涙を流す。 後日、凛と奏太は地域の集会を開き、鈴木さんのインタビュー映像を上映する。そこで十年前の真実が明かされ、住民たちの誤解は解ける。

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エブリスタ2025/07/20
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