あらすじ
裕福な商家に生まれ、何不自由なく育った少年ティリオ。しかし、商売敵の陰謀によって実家は潰され、家族とも引き離される。行き場を失ったティリオは、借金のカタとしてゼレク=カルのコロッセオ──悪徳と暴力が支配する闘技場に奴隷として売られてしまう。
戦いとは無縁だったティリオは、最初から"魔狼の餌"として殺される予定だった。誰もがそう思っていた……彼自身さえも。
だが、彼は死ななかった。
気がつけば、目の前に倒れる対戦相手。
「えっ!? なんで目が覚めたら敵が倒れてるの……?」
その裏には一人の天才の存在があった。
名をゼイド──下級貴族にして、祖父の遺志を継ぐ冷酷な科学者。
幼くして神童と呼ばれた彼は、転生者の祖父から受け継いだ"異世界知識"をもとに禁断の技術を完成させ、ティリオの肉体を遠隔操作し始める。
祖父を殺した貴族たちへの復讐。
国家そのものを揺るがす計画。
──そのために、ティリオは"英雄"という虚像として利用されていく。
気弱な少年と冷酷な天才。
二人の歪な共闘が、やがて国家の運命をも変える――。