あらすじ
千年の静寂に包まれた海の底――そこにはかつて平安の世を妖しくも美しく彩った九尾の妖狐の化身が、淡路島の鳴門海峡の深き闇に封じられていた。
彼女が心に秘めてきたのは、ただひとつ、決して言葉にできなかった想い――「本当にあなたが好きだった」。
時は流れ、人の世は幾度も姿を変えたけれど、あの胸焦がす愛だけは、薄れることなく燃え続けていた。
「嘆きつつ 一人寝る夜の寂しさは 千代の波間も 消せぬうたかた」
声に出せなかった日々の後悔。
永遠の闇で潤む涙。
それでも今、千年の隔たりを越えて、彼女はただひたすらに願う――
「もし言葉が届くのなら、今こそ伝えたい。
あの日伝えられなかったこの想いを。
千年経った今でも、私はあなたを愛している……」
切なくも美しい、時を超えた純愛の物語。
鳴門海峡の海底で封印された狐の悲しき恋が、やがて海と星の狭間に静かに解き放たれる……
九尾の狐 剣巫女 純愛 短歌