あらすじ
資産家の老人が亡くなった夜、
屋敷中の時計はすべて十一時十一分で止まっていた。
机の上には、誰に宛てたものか分からない――
それどころか全く同じ内容の手紙が、複数残されていた。
遺産をめぐる親族たちの疑心暗鬼。
家政婦がひそかに口を閉ざす老人の「奇妙な最期」。
死の前に泥をつけて戻った老人の靴。
取材で訪れた記者・矢野は、
この屋敷に一歩足を踏み入れた瞬間から
どこかで確かに体験したはずの記憶に囚われはじめる。
なぜ屋敷は、あの時間で止まっているのか?
なぜ老人は何通も同じ手紙を遺したのか?
――そして、その手紙は一体、誰に届けたかったのか?
屋敷の奥へ進むほど、
矢野は自分自身の過去と向き合うことを余儀なくされる。
最後にその手紙を受け取るのは、果たして誰なのか。