あらすじ
辺境の薬館で祖父に育てられた少女・芙蓉(フーロン)は、薬草と毒の知識を活かして静かに暮らしていた。だがある日、「王命」により都へ連れ去られ、後宮の下働きとして放り込まれてしまう。
化粧の香、濃厚な香油、美しくも濁った女の園。そこでは、病も毒も、そして死さえも“噂”と“運命”にすり替えられていた。
「病じゃありません、これは毒です」
数日後、芙蓉はある妃の“死産”をきっかけに奇妙な違和感を覚える。それは香炉から漂う微かな香りだった──。
香と薬の知識を頼りに、少女は後宮に潜む闇へと踏み込んでゆく。
誰かが嘘をついている。
誰かが命を奪っている。
これは、異能も武力も持たぬ少女が「知識」で毒と謎を暴いていく、中華後宮の薬学ミステリー。