あらすじ
言葉に想いが宿り、怪異となる世界——。
言霊怪異と呼ばれる存在に、人々が祈りを捧げる現代。
その裏側で、それを斬り祓う者たちがいた。
政府機関「対言所(たいげんしょ)」に所属する斬り人・ゆかりは、
任務のために、かつて住んでいた町「神渡町」を訪れる。
そこで再会したのは、政府非所属の斬言士・香雪(こうせつ)。
無口で、どこか懐かしい雰囲気の“白髪の剣士”は、かつてゆかりが想いを寄せた“お兄ちゃん”によく似ていた。
政府に属し命令を最優先に動くゆかりと、
家系の使命として独自に怪異と対峙する香雪。
ふたりは幾度も共闘しながらも、価値観の違いから衝突を繰り返す。
そしてゆかりの心には、かつて交わしたひとつの約束が残っていた。
——「大人になったら、お嫁さんにしてください」
けれど、それは幼い恋心の一部だったはずで。
女同士という現実の前に、ゆかりは自分の想いに戸惑い続ける。
言えなかった「好き」。
信じたくなかった「過去」。
そして、気づいてしまった「今」の感情。
言葉にしなかったそのすべてが、世界に歪みを生む。
祈りとはなにか。
呪いとはなにか。
「斬る」ことは、本当に「救い」なのか。
ふたりの剣が交わるとき、宿命の言霊が目を覚ます。