あらすじ
『英雄伝』は古代ギリシアとローマの政治家、武将からひとりずつ人物をピックアップして編まれた伝記集です。
いままでに4回ほど完全邦訳されたものが出版されましたが、現在流通しているのは少々お値段のはる西洋古典叢書版のみ。名著の訳がこれだけというのは少しさみしい気がします。
そこで英文から重訳するかたちで翻訳を試みました。
個性ゆたかな人物群のなかから、いままでにエウメネス、ニキアス、リュサンドロス、アエミリウスの伝記を紹介しました。この「ピュロス伝」は第5弾です。
ピュロスはバルカン半島西北部の国、エピロスの国王です。ディアドコイ戦争後期の人物ですが、むしろ勃興期のローマの前に立ちふさがった好敵手として語られる機会が多いように思います。あのハンニバルが名将と称えたことや「ピュロスの勝利」という慣用句などから、いままで翻訳した4人よりはわずかながら知名度で勝るでしょうか。
プルタルコスは彼を疑いようのない英雄として描いています。さて我々現代人の目にはどう映るでしょうか。なんだか計画性に乏しくバタバタと落ち着きのない人生で、あまり大人物に見えないかも知れません。しかし例えば(フィクションではありますが)シャア・アズナブルなどは、ある面ではこういったタイプの英雄なのではないでしょうか。そう捉えると、ピュロスが多くのひとから愛されたことも分かるような気がします。
7月8月は本業が忙しく更新も滞りがちになると思いますが、どうぞ最後までお付き合いください。