あらすじ
孤独に慣れた高校生、ユキ。彼の日常は単調で、彩りのないものだった。仕事で多忙な両親を持つ彼は、学校と家での趣味だけを繰り返す静かな毎日を送っていた。
しかし、四ヶ月前のとある雪の夜が、彼の全てを変えることになる。吹雪の中で意識を失った少女を見つけ、躊躇いもなく助けたこと。それは彼にとって、とうに忘れたはずの些細な出来事だった。
そして春。ユキのクラスに、月城美優(つきしろ みゆ)というミステリアスな転校生がやってくる。美しく、すぐに人気者になった彼女には、ある秘密があった。何を隠そう、彼女こそが、あの夜ユキが助けた少女その人だったのである。
驚いたことに、美優はユキの新しい隣人でもあった。「私のヒーロー」と呼びながら、彼女はユキの日常に踏み込んでくる。毎日手作りの弁当を届け、ユキが今まで感じたことのない真っ直ぐな好意を向ける。彼女の積極的なアプローチに、ユキは戸惑いながらも心を動かされていく。月城美優とは何者なのか?そして、あの運命の夜に一体何があったのか?
一本のマフラーだけが知る、二人の出会い。自覚のないヒーローと、彼に救われた少女の運命の物語が、今、冬の最後の名残雪と共に、凍てついた心を溶かしながら紐解かれていく。