あらすじ
『冒険者にはなれなかったんだ。』
ギルドの受付で働く冴えない中年男、ジェスロ。彼の口癖は、「ギフトは得たさ。でも【鑑定】じゃ、冒険者にはなれなかったんだ」だ。
少年ジェスロが授かったギフトは、非戦闘系の**【鑑定】**。
それだけで冒険者登録を拒まれ、夢は終わった。
それでも、偶々知り合った剣士に言われた言葉だけは、胸に残った。
「毎日1000回、素振りをしろ。笑顔でやるんだ!」
意味もわからずその教えを20年間欠かさず続けた。評価されることもなく、ただの日課として。
その身体が、すでに**“規格外”**に仕上がっているとも知らずに。
そしてある日、前任者の不祥事により急きょ任されたのは、初心者ダンジョンの立会任務。
同行するのは、貴族と思しき令嬢とその従者。危険のない名目のはずが――
ダンジョン内部で発生した異変。
本来出るはずのない強力な魔物が現れ、逃げ道も閉ざされた。
仲間の二人が追い詰められ、ジェスロもついに狙われる。
攻撃を避けるも、ギルド支給の安物の剣では傷ひとつつかない。
万事休す――かと思われたそのとき、
「なぜ、そこに石が……?」
魔物が足元の石を踏み、バランスを崩して
転倒した隙を、ジェスロの剣がとらえた。反射的に。
(……たまたまだ。剣は安物だったけど、運良く倒れたから急所を突けた)
勝利も強さも、すべて剣や運のせい。
そう信じるジェスロと、別の確信を抱く令嬢たち――
「やっぱりあの人、隠された護衛だ……!」
こうして始まる、勘違いから生まれた【最強伝説】
冒険者になれなかった男が、いつしか世界を巻き込む存在になるとは、誰も知らなかった――。