あらすじ
パーシヴァル侯爵家の次男、テオ・パーシヴァルには夢があった。
かつて剣を極め、星を切ったとされる伝説の英雄。
タケル・ヤマトの様な最高の剣士になるという夢が。
だが、世界は残酷である。
15歳になって行われたスキル隔世の儀において、彼は何のスキルも得られなかったのだ。
スキルの有無は大きい。
覚醒しなかった時点で、殆どの者がそれを諦める程の差が生まれる。
だが、彼は諦めなかった。
何故なら、伝説の英雄タケル・ヤマトもまた、スキルなしだったからだ。
「俺は諦めない!いつかきっとタケル・ヤマトの様に星を切って見せる!」
テオは夢を諦めず、来る日も来る日も剣の修練に明け暮れる。
1年。
5年。
10年。
30年。
必死に訓練を続けるテオ。
そして気づけば55年の月日が……
「所詮、夢は夢か……」
執念で訓練を続けたテオだったが、齢70にして遂に夢を諦める事を考える。
いや、考えざるを得なかった。
「ここまでだな」
今更人生のやり直しは利かないが、彼はせめて晩年は心穏やかに過ごそうと剣を置く事を決める。
だがその瞬間、テオの中にある記憶が蘇ってきた。
―—それは自身が転生者である記憶。
「いや……いやいやいや!今更!?記憶を取り戻すのが今更!?今更チート使えるようになるとか……普通10代とかに記憶が戻るもんだろうに……」
70を過ぎて発生した遅すぎる覚醒。
遅すぎるチート入手。
本当に今更過ぎる。
「何を思って70で……しかし、そう考えると伝説の剣士も――」
名前から察する事が出来た。
タケル・ヤマトも転生者であった事を。
「チート持ちを目指してたとか、我ながら無駄な時間を過ごしたものだ」
自分の夢を追った時間が完全に無駄だった。
そんな虚しさを感じつつも、テオは折角チートを手に入れたのだから残り少ない人生を無双で締めくくろうと考えた。
「まずは……冒険者登録でもするとしようかな」
この物語は、齢70を超え晩年になってチート覚醒したテオが星を切るに至るまでの物語。