あらすじ
後宮奥深く、寵妃たちが住まう蓮華楼。
そこに暮らすひとりの“毒姫”――燕蘭(えんらん)は、毒を識り、毒を嗅ぎ分け、毒を使わずして毒を封じる薬師であった。
かつて毒殺未遂事件に巻き込まれ、自らも命を落としかけた過去を持つ燕蘭は、それ以来“毒”の声を聞くようになったという。
「毒には毒で抗え。けれど、それを使う必要はない」
宮廷で起こる不可解な事件。
消えた文、すり替えられた薬、燃やされた香。
皇后派と妃嬪たちの派閥争いの陰で、蘭の香と共に謎が漂う。
そんな彼女の前に現れたのは、無口で鋭利な目を持つ宦官・玄霄(げんしょう)。
彼は言う。「お前の“毒を嗅ぎ分ける鼻”を借りたい」
──毒か、薬か、真実か。
香りに隠された陰謀と、後宮の命運を巡る静かな戦いがいま、始まる。