あらすじ
物部龍兎は就活に失敗し、だらけた日々を送っていた。ある夜のこと、コンビニからの帰り道、猫を追って道路に飛び出した少女に車が迫るのを見た。少女を助けようと咄嗟に車の前に飛び込んだ龍兎だったが、気づくと異世界らしき場所にいた。しかも幼い頃の姿で。
そんな龍兎が思ったのは、家に帰りたい。それだけだった。
最初にゴブリンと出逢うも襲われたことで危機感を抱く。移動を始めた龍兎は人間と出会えず食料も手に入らなかったものの、美しい草原に辿り着いた。
この草原で、龍兎は妖精と出逢った。仲良くなった妖精に、龍兎はリリカという名前をつけてやった。その後、龍兎は死にかけるも、リリカの魔法で助けられる。
妖精の魔法は願いを叶える力だった。しかし、その力には副作用があった。
龍兎の身体は成長を止めていたのだ。
それから二人の旅が始まった。龍兎はリリカと一緒に各地を巡りながら、帰還に役立つ方法を探した。しかし長い歳月の末、有名になりすぎてしまった二人には、不老の力を求めた権力者によって追手がかかり、別の大陸に逃げることになった。
ある日、旅は唐突に終わった。意識を失い、再び草原で目を覚ました龍兎だったが、長い旅路の記憶をすっかり失っていた。どうにか近くの街に辿り着いたのだが、唐突な魔族の襲撃で街は火の海となり殺されかける。そのとき姿を隠した何者かに助けられた。
面倒を嫌って森へと逃げ込んだ龍兎は、再び妖精と出逢う。
龍兎はついに真実を知った。家に帰ることはできるが、記憶を失い、そしてまたこの異世界に呼ばれてしまうことを。
龍兎は小学生の頃、すでにリリカと出逢っていたのだ。
その記憶は失われていたけれど。
すべてを理解した龍兎は自分の記憶を戻すようリリカに願った。それは叶えられた。
そして、ずっと一緒にいる、その約束をしたリリカとともに、今度こそ地球への帰還を試みるのだった。
(第31回スニーカー大賞応募作品)