あらすじ
「死ぬよりは、記憶を消してでも生きていてほしい」
そんな願いから生まれた“記憶リセット”という選択肢が浸透した世界。
記憶は消えても、日常生活は保たれる――それは人生の“やり直し”として広まっていた。
進路が決められず、人と比べて苦手なことや出来ない事ばかりの自分に嫌気がさしていた少年・ジュン。
記憶リセットに逃げたい気持ちに揺れていたある日、帰り道で血塗れで助けを求めて倒れている少女と出会う。驚きながらも助けようとしたら、通りすがりの人には“犯人”に見られてしまった。
血塗れになった服と両手を咎められロクに話も聞いてもらえず、耐え切れなくなったジュンは恐怖と混乱でその場から出げ出してしまった。
気が付いたら行き着いていた、鬱蒼とした森の中にあった小さな教会で出会ったのは、記憶リセットの後遺症で多重人格となった青年・コウ。
コウの中で生きる、明るくて軽いユウ。自由奔放なロン。鋭く合理的なレン。
切り替わりながら自分の“得意”を活かして生きる彼らと「自分のままで居られる場所を探す旅」をし、ジュンは初めて「できない自分を責めなくていい」と知っていく。
同時に「出来ない事ばかり目を向けるのではなく、出来る事もある筈で。それを知る為にももっと自分を知っていかないといけない」事も学んでいく。
やがて彼は、あの事件の真実と向き合い、家族に自分の言葉で伝える決意をする――。
これは、「逃げた自分」と向き合いながら、自分を知っていき、受け入れ。誰かを頼ってもいいと、ようやく思えるようになる少年の物語。