あらすじ

小説『もし、異世界ファンタジー作家だったら!』物語紹介 佐藤菜々美、35歳。プロ作家としてのキャリアは10年。しかし、彼女が書き続ける「王道推理サスペンス」は、時代の波に取り残され、「売れない」というレッテルを貼られていた。緻密なトリック、深い心理描写…これだけが私の道、と信じていた彼女に突きつけられたのは、担当編集者からの冷たい現実。 「このままでは、契約更新はできません」 崖っぷちに立たされた菜々美に提示された唯一の道。それは、彼女が最も苦手とする、そして最も興味のないジャンル――「異世界ファンタジー」だった。剣と魔法? エルフ? 魔王? サスペンス脳の菜々美にとっては、全くの未知の世界。反発しながらも、背水の陣で、藁にもすがる思いで異世界ファンタジーの執筆に挑む。 参考書とネット情報を頼りに、苦痛と混乱の中で何とか書き上げた渾身の一作(本人にとっては全く自信作ではない、むしろ黒歴史になりそうな予感)。それを、半ば諦めながら、しかし最後の望みを込めて公募の「異世界ファンタジー部門」に応募する。 結果は、まさかの展開だった。 一次通過、二次通過、そして最終選考へ。あれほど自信がなかった、あの物語が、選考委員から絶賛される。そして迎えた授賞式――大賞受賞! 評価されたのは、「緻密な構成力」「予想外の展開」「深い人間描写(ファンタジーなのに)」…そう、それは菜々美が推理サスペンスで培ってきた技だった。 これで、作家人生が華々しく開ける! 大賞を受賞した「この作品」が晴れて出版され、ベストセラーになり、メディアミックスの依頼が殺到する!…はずだった。 しかし、授賞式の場で、出版社から菜々美に告げられた言葉は、予想とは全く違うものだった。 「佐藤先生、ぜひ、本格的に異世界ファンタジーを書いて見ませんか?」 菜々美は呆然とする。 え? 入賞したこの作品、じゃなくて? 自分が大賞を取ったそのジャンルで、また「新しい」異世界ファンタジーを書けというのだ。しかも、すでに決まりきったことのように。 大ヒットの可能性を秘めた才能として認められた菜々美を待っていたのは、華やかな未来ではなかった。自分が一番書きたくないジャンルでの新作執筆という「ムチャ振り」。そして、大賞受賞作の映画化交渉では、まさかの契約金百万円(しかも、よく読まずにサインした公募の契約書に明記されていた!)で、作品の内容はタイトルとキャラクター名以外ほぼ無視されるという、あまりにも皮肉な現実が待ち受けていた――。 これは、売れない作家が不本意ながら大成功を収め、その成功によってかえって苦悩に追い詰められていく、笑いと涙(と乾いた笑い)の物語。 果たして、菜々美は書きたくない「新作」を書き上げられるのか? そして、彼女の作家人生は、どこへ向かうのか? 売れない作家の悲哀と、大ヒットの皮肉な顛末を描く、新感覚コメディ小説、開幕!

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/07/04
  • 現在の作品コンテストに入賞したら?どんな未来が?