あらすじ


 貴族の次男に生まれたリオが授かったのは、この世界で絶対の価値を持つ「魔力」ではなく――ゼロという名の絶望だった。
「出来損ない」と蔑まれ、期待されることもない日々。だが、彼には秘密があった。万物が奏でる固有の「響き」を知覚し、その理(ことわり)に直接干渉できる、神すら知らない超能力。鉄の響きを強めれば名剣となり、水の響きを操れば荒波も鎮まる。だが、本人はその力の価値に無自覚で、「めんどくさい」が口癖の飄々とした少年だった。

 貴族の義務として入学させられた魔法学園では、もちろん劣等生の烙印を押される。しかし、太陽のように明るい神聖魔法の使い手リリアと、全てを吸い込むような静寂をまとう闇魔法の天才カインだけは、リオが放つ魔力とは異質な、強大で澄み切った「音色」に気づいていた。退屈な学園生活、それが一変したのは、誰とも交わらない孤高の「邪眼の少女」アリアとの出会い。彼女の瞳が放つ、世界を歪めるほどの孤独の響きに初めて興味を抱いたリオは、学園のランキング戦へ出場。その規格外の力で、エリートたちを次々と無力化し、学園の常識を覆していく。

 だが、その力は大人たちの目に「世界の秩序を乱す禁忌」と映った。魔女裁判のような糾弾の場で、リオは一言、「ああ、めんどくさい」と呟き、その場から逃亡する。追われる身となり、独り自由な旅に出ようとした夜明け前、王都の門で彼を待っていたのは、リリア、カイン、そしてアリアだった。「私たちを置いていくつもり?」――こうして、一人の規格外な少年と、三人の天才たちの、賑やかで波乱に満ちた旅が幕を開ける。

 そして一行が辿り着いた聖王国で、リオは運命と対面する。未来の全てを視るという聖王女フィアナ。彼女はリオに会うなり大粒の涙を流し、こう告げた。「やっと会えました……私はずっと、あなたの全てを知っていました」。なぜ彼女は魔力ゼロの自分を知っているのか? なぜこれほどまでに自分を求めるのか?
 これは、自分の力を「めんどくさい」としか思っていなかった一人の少年が、仲間との絆を知り、運命の少女と出会って、やがて世界の理を調律し、壮大な運命の交響曲(オーケストラ)を奏で始める物語。

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アルファポリス
アルファポリス2025/06/30
  • 現在の作品魔力ゼロの俺の力は【世界の理(ことわり)】そのものだった。