あらすじ
二十歳で統合失調症を患った三十二歳の男、磯崎雄太郎。自らが妄想癖が強いことを自覚しているが故、現実というものに向き合い、打ちのめされる日々を送ってきた。
一念発起して三十歳の夏に神奈川県の神築城村に移り住み、エッセイと小説を書いて暮らしている彼は、雀の涙ほどの収入で、事故物件の築四〇年の古民家で暮らしていた。
そんなある日、彼は便所に向かう途中、視界に見慣れぬものを目にする。
特別な霊感なんてない、平凡な男だと思っていた彼だったが、その日を境に「幽世」との接点を持ち、「あやかし」という存在を知ることになる——。