あらすじ

氷海に浮かぶ巨大ドームで、広告コピーすら書けなくなった三十路男〈欠落コピーライター〉綾瀬透は、世界の音が 0.7 秒だけ消える怪現象を取材していた。 その瞬間にだけ顔を上げる十三歳の無口な少女——〈無音天才少女〉宙。彼女のカメラには、人の目に映らない虹色の輪 〈フリンジ〉が写り込む。 少女の能力を危険視した技師たちは、透に「保護者」としての同行を要請した。 頼みを引き受けた透は、氷港の地下で“音のない階層”に落下し、宙が示す座標が北のガラス湾から南の珊瑚礁へ伸びていることを知る。 潮が止まり、島全体が息をひそめる夜——ふたりの鼓動だけが静寂を破り、閉ざされた世界に小さな音を灯す。 失われた言葉を持たない少女と、言葉を失った大人。 0.7 秒の静寂が重なるたび、ふたりは凍った海を渡り、赤い珊瑚の底へ潜り、やがて“結び目層”と呼ばれるもう一つの世界の扉を叩く。 音のない空白に、最初の一行を書き込むために——。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2025/04/24
  • 現在の作品無音天才少女と欠落コピーライター