あらすじ

佐野正臣は気弱な性格で、人付き合いが上手くない。職場では後輩達からやんわりと見下され、友人もおらず、心をすり減らす日々を送っている。 そんな正臣の唯一の慰めは、高校時代の想い人・舞原海の思い出に浸ること。正臣の通う田舎の高校に突如転向してきた彼女は、誰からも好かれる明るい性格の少女だった。しかし海は地元の川で謎の死を遂げ、正臣の初恋は想いを伝えられぬまま終わってしまった。 いっそ彼女と一緒に自分の人生も終わってしまえば良かった。そんなことを思っていた正臣の前に、突如亡霊となった舞原海が現れる。行くあてのない彼女と共に暮らすうちに、正臣は徐々に心の豊かさを取り戻していく。 そして少女の姿のままのかつての想い人に対し、恋心ではなく、ただ単に守って支えてやりたいという父性愛のような感情が芽生えていくのを感じていた。 しかし海の体に異変が起きはじめる。無害な霊だと思われていた彼女は、生身の人間の生気を吸収し、自我を失って無差別に人間を襲う化け物・幽鬼(ゆうき)に変異しつつあった。しかし幽鬼になることを望まない彼女は、正臣を傷つけぬよう姿を消す。 残された正臣は、幽鬼に対抗する力を持つ除霊師・雛菊の力を借りて、海を救おうとする。しかし海と対峙した正臣は、暴走した彼女を止めようとして重症を負ってしまう。それでも尚、正臣は海に正気に戻るように訴えた。その声が届き、海は自我を取り戻す。その時に、正臣は十一年前の海の死の真相と、彼女が現世に戻ってきた理由を知る。当時家族の愛に恵まれなかった海は、愛情を求め、十一年間成仏できずにいたのだった。 しかし命懸けで救いに来てくれた正臣を見て、海は本当の家族を得られたと悟る。その事実に救われた海は、心からの幸せを感じ、雛菊の力を借りて成仏していく。 寂しさはありつつも、どこか晴れやかな気持ちで彼女を見送った正臣は、もう以前の気弱な性格ではなかった。

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カクヨム2025/04/10
  • 現在の作品触らない夏のエヴァ