あらすじ

とある刑務所の独房に、一人の男がいた。彼は死刑囚であり、本人は知らぬが、執行の日はすぐそこまで迫っていた。泣こうが喚こうが反省しようが、その判決が覆ることはない。もっとも、彼は反省するどころか、今なお罪を重ね続けているのだが。 「よしよし、だいぶ掘り進めたな……」 男は脱獄を目論み、独房の床下に穴を掘り続けていた。 きっかけは遥か昔、支給された食事のトレーにスプーンが二本乗っていたことだった。看守の些細な手違い。それを見逃さなかった男は一本をくすね、夜ごとにベッドを動かし、コンクリートの床を削り始めたのだ。擦り減ったスプーンは定期的に新しいものとすり替え、地道に執念深く掘り進めてきた。 長い年月をかけて作られたそのトンネルは、ついに建物の外壁を越え、あとわずかで塀の外へと到達しようとしていた。 「……おや?」

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小説を読もう2025/04/20
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