あらすじ
——この世とあの世の境を、踏み越えたのは“まだ死んでいない”青年だった。
京都・六道の辻。
地獄の釜の蓋が開くと言われる八月朔日、民俗学に興味のある彼は友人達と現地を訪れていた。その途中、突如として冥府へと迷い込む。
行き場を失った生者は、常世の戸籍に名前のない“異端”として冥府庁に保護され、冷静沈着な調査官・黒野アイリの補佐役として働きはじめる。
冥府庁に残るための試験、黒野の厳しい指導、そして自らの“存在がなかったことにされた”現世での記憶の空白——
忘れられた者として、それでも歩き続けるしかなかった彼が選んだ道は?
今、冥府の扉が再び開く。
そこに記されるのは——名前すら残らなかった《神崎イサナ》の、もう一つの記録。
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