あらすじ

都内某駅、朝のラッシュ。
会社でも家庭でも息が詰まる加藤は、誰にも言えない“ささやかな習慣”を持っていた。
それは、人混みの中でわざと他人とぶつかること。女性、気弱そうな男、そして時には学生。
言い訳できないほどの衝動だったが、加藤にとってそれは、ストレスを吐き出す「ただのガス抜き」にすぎなかった。

だがある日、何もかもが反転する。
新たな取引先の担当者として現れたのは、つい先日ぶつかったばかりの女性。
そして同じ頃、加藤の“ぶつかり”はSNS上で晒され、炎上していく。
名前、職業、顔、家族構成——匿名の世界は容赦なく彼を切り裂いていく。

気づいたときには、もう、ぶつかる相手すらいなかった。
誰にも触れられず、誰にも届かず、世界から滑り落ちていく。

「ぶつかったのは、誰かの心だった。」
この物語は、“ささやかな加害”が引き起こす、静かなる地獄の記録である。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
アルファポリス
アルファポリス2025/04/19
  • 現在の作品ぶつかり、終わる