あらすじ
貞享三年(1683年)、江戸八重洲。
幕府の法が町を覆い、秩序と混沌が交差する時代。
町の片隅、茶屋「風見庵」には様々な者たちが行き交う。
武士も商人も旅人も、一杯の茶を求めて足を運び、それぞれの物語を抱えていた。
桂木新之介は、その茶屋に辿り着く。
かつて幕府に仕え、剣を握った男が、この場所に足を止めた理由とは。
静かに客を迎える女将・お艶。彼女の背には、誰も触れぬ影が揺れる。
秩序の中で生きるのか、漂うのか。
剣を取るか、それとも置くのか――その選択は、まだ定まらない。
ただ、江戸のざわめきの中で、誰かに選ばれることなく、己の歩みを進めていく。