あらすじ
日本各地に存在する、黄泉の世界へ繋がる境界。
その規模の大きさごとに等級が分けられているのだが、その中でも最上位にある特級境界である『黄泉比良坂』の結界が崩壊したのが約三十年ほど前のこと。
崩壊してしまった境界を潜り、黄泉の国から多くの妖魔が現世へ溢れ出たことで甚大な被害が与えられたものの、陰陽省所属の祓巫女たちの活躍により、妖魔たちを再び境界の向こう側へと追い返すことに成功した。
しかし、『黄泉比良坂』の崩壊以降、日本各地に存在する大小様々な境界を封じている結界が軒並み不安定な状態に陥る事態が発生し、その度に祓巫女たちが奔走することとなった。
それまでは影に生きる彼女たちの存在が次第に世間に知られていくようになり、時折発生する妖魔関連の事件を解決していく彼女たちが受け入れられるようになったことを受けて、国は正式に祓巫女の育成強化を決定。
これまで血筋による継承がなされてきたが、陰陽省の調査により、一般の家庭の中にも祓巫女になる素質を持つ者がいることが分かった。
陰陽省が行う適正検査に合格した者は、各都道府県に一校ずつ設立されている国立祓魔専門学院へ入学することができ、祓巫女として必要な知識と戦闘技術を学ぶこととなる。卒業後は陰陽省の都道府県支所等に配属され、結界の維持や妖魔の掃討に当たるのだ。
祓巫女の育成環境が整えられてから更に十年ほどが経つ頃には祓巫女の数も順調に増加し、彼女たちの存在もすっかり当たり前のようになっていた。
特に近年は適性試験の応募者が急増しており、そのきっかけがSNSの普及と陰陽省の公式アカウントによる動画配信であった。
他にも、彼女たちが妖魔と高さ高う現場に偶然遭遇し、その様子を撮影した動画をSNSに投稿すれば何万、何十万と再生されたりと、もはや彼女たちはアイドルのように扱われ、一種のエンタメのようになっていた。
それに加えて、その危険性から祓巫女に支払われる給与がかなり高額であるということもあって、祓巫女を目指す者が増加したのだ。
クラスの女子たちも、今となってはほとんどの女子が祓巫女の配信の話題で盛り上がっている。