あらすじ
わたしたちの知る平安京とは、少し違う平安京の物語。
揚羽(あげは)は、大納言の姫でありながら姫君らしくあることを厭い、好きなものに一途だった。
虫も鳥も獣でさえ、彼女は素手で触れている。長く美しい黒髪を紐で一つ結びにして、庭を駆けまわっていた。
そんな様子から、人々からは『蟲狂いの姫』とあだ名されるようになる。
けれど、揚羽は全く頓着していなかった。
誰にも邪魔されず、生き物たちと戯れる日々が好きだから。
しかしある時、変わり者の彼女を愛してくれた両親が何かに襲われ、邸にも住めなくなってしまう。
揚羽は偶然出会った少将・柊(ひいらぎ)と共に、両親を殺した相手探しをすることに……!
化人(けにん)と呼ぶ不思議な従者たちとも協力し、揚羽は敵を捕えることが出来るのか?
〘学生時代に書いた作品リメイクです。〙
第24回角川ビーンズ小説大賞用あらすじ↓
妖のはびこる平安の都で母と共に暮らす、大納言の姫、揚羽。彼女は貴族の姫らしくなく、周囲から『虫狂いの姫』とあだ名されていた。
揚羽の噂を聞き付けた中将の鷹史が、友人の柊と共に垣間見にやって来たこともあった。
ある日、揚羽のもとへ巨大な蜘蛛の姿をした妖が現れ、襲い掛かる。何とか揚羽の従者たちで人と動物の姿を持つ異形である化人の三人の活躍もあって調伏することが出来たが、代わりに母である桐子が、邸の下を走る龍脈を守るために眠りについてしまう。
桐子の一族は、昔から都を妖から守る役目を帯びていた。その血を引く揚羽には、母にはまだまだ劣るものの、力が受け継がれているのだ。
揚羽は母の使命を代わりに果たそうと、夜な夜な都を見回り、妖と戦い倒すようになる。雀の化人・瑞飛、犬の化人・走矢、そして鯉の化人・竜玉と共に、様々な妖から都を守っていく。
そんな日々の中、揚羽は何度も柊と出会う。彼は横笛の名手だったが、その横笛は大昔に笛の神によって先祖に与えられたものだった。偶然笛の神を助けたことで、それを知った揚羽たち。柊の強い希望もあって、共に妖調伏のために戦うことになる。
何度か共闘していく中で、ある夜揚羽の姉・花子の娘が狐の妖に襲われる事件が発生する。走矢を先に行かせた揚羽だが、彼女らも狐の妖と戦うことになる。
妖を倒し姉の元へ向かえば、走矢が瀕死の状態だった。彼を休ませ、揚羽たちは狐に立ち向かう。
柊の手助けもあって勝利するが、揚羽は姉から自分を戦いに引き出すために娘を襲ったのではと聞く。首を傾げる揚羽だが、彼女を見つめる黒い影の存在には気付かない。
また別の夜、揚羽の目の前に正体不明の男が現れる。彼は自分を妖だと言い、稀有なる存在である揚羽を取り込みこの国を奪うと宣言する。揚羽自身は知らなかったが、彼女は人ではない。彼女もまた、蝶の化人だった。
蝶の化身は一代に一人しかおらず、その翅の鱗粉は、万病の薬となるという言い伝えがある。更にその身に宿る力は膨大で、あらゆる妖がその力を欲していた。
妖の男・武息と出会い自分の正体を知らされた揚羽は、少なくない衝撃を受ける。昔から共にいた従者たちがそれを知っていることに追い打ちをかけられるが、彼らの真摯な言葉で落ち着きを取り戻す。しかし浸る間もなく、武息からの猛撃が始まる。
武息の放つ刺客を調伏し続ける中で、揚羽は一度万事休すのところまで追い詰められる。その危機を救ったのは、今まで戦う力よりも守る力に特化していた柊だった。
刺客との戦いにおいて、揚羽は仲間たちを全員戦闘不能に追い込まれる。大切な仲間を傷つけられ、自らの命の危機にさらされた揚羽は、蝶の化人ととしての力に目覚める。
化人の力で武息に打ち勝った揚羽だが、急な覚醒により力の枯渇に陥る。そのまま眠りについてしまった揚羽に、柊は慌てるが成す術はない。更に目覚めた桐子により、回復には長い時間と睡眠が必要と知る。
そして五年後。成長した柊と化人たちの前に、揚羽が目覚める。揚羽と柊は互いに想いを打ち明け合い、通じたことを喜ぶ。