あらすじ
ゲーム実況者――それはゲームをプレイする様子を動画サイトで配信し、収益を得る者たち。
遊びながら金を稼げる。好きなことをして生活できる。そんな夢に溢れた職業。動画投稿サイトは言わば現代のフロンティア。今日も多くのゲーマーが人気配信者を目指して動画を配信する。
やがて最大手動画投稿サイト「ユアチャンネル」がプレイ動画配信前提VRMMO『ストリーマーズ・エデン』をリリースした。『ストリーマーズ・エデン』ではゲーム内で動画の撮影、編集、投稿が可能。プレイヤー達は仮想世界で自由に冒険し、配信し、その強さと再生数を競い合う、まさに、配信者の楽園。
しかし配信者は善良な者達ばかりではない。PK、つきまとい、配信の妨害――迷惑行為によって注目を集めようとする「迷惑系配信者」もまた増加していた。彼らは「ゲームだから」という言葉を免罪符に、行為をエスカレートさせていた。
そしてついに、希望と欲望、自由と腐敗で渦巻くストリーマーズ・エデンで、ひとりの男が立ち上がる。
シルクハットにタキシード。手には紳士の証であるステッキを、胸には愛の印たる白いバラを。真っ白な手袋と、銀の懐中時計。皺ひとつないズボンと、ピカピカの革靴――そして、やたらとリアルでちょっと怖い兎の被り物。
無駄にジェントルな衣装を身に纏い、数多の美しきバニーガールを侍らせて、(バニーガールへの)愛と(資本主義的な)正義のため、今日も動画のコメント欄を困惑と笑いの渦に叩き込む。
「汝、迷える子兎よ。バニースーツを着てハイヒールを履け」
その名はバニ夫。バニーガールに心奪われた男である。
「お前もバニーガールにしてやろうか……!」
その者、狂気を纏いて仮想世界に降り立つかもしれない。