あらすじ
2043年。2020年以降に多発した各地の紛争によって既存の秩序と枠組みは崩壊した。国際連合の解散、EUの崩壊…。世界が絶え間なく続く紛争、難民、経済格差から生じる階級闘争、人種対立などの問題に奔走する中で再起を果たした日本。しかし、それを是としないかのように新たな脅威が襲い来る。
吸血鬼。古来より人類を食料とみなす天敵。好戦的で残虐、人類を優に超える身体能力と生命力を有する殺戮者たちは人に、闇に紛れて凶行を繰り返して流れる血を愉しむ日々を送っていた。人類もまた指を咥えているだけのはずはなく、吸血鬼を殲滅するための組織「羽狩」が人知れずいつ終わるか分からない抗争に命を始めとするあらゆるものを費やしていた。
そんな死に満ちた世界とは無縁に生きていた男子高生の九竜朱仁。ある日の帰路に九竜は吸血鬼に襲われて絶体絶命の危機に陥ったところを、羽狩の弦巻葵に救われる。かつて、テロ事件に巻き込まれて父親をその手の中で看取った九竜にとって弦巻から聞かされた吸血鬼の凶行は許せない話だった。そして、自分と同じ絶望を誰にもしてほしくないと、戦うことを決意する。
弦巻の伝手を使って実戦でも十分に通用するだけの戦闘力を身に着けた九竜だったが、国防省に務める姉の百葉に入局を反対されてしまう。強硬に反対の姿勢を崩さない百葉を前に弦巻の上司・芥子川は入局を懸けた模擬戦闘を提案する。最終的に弦巻の助力もあって勝利を手にした九竜は晴れて羽狩の一員として入局することになる。
迎えた初任務。ベテランでも殉職する可能性がある戦場に配置された九竜。不安に駆られる九竜をよそに弦巻は尋常ならざる戦闘力で鎧袖一触に吸血鬼の悉くを殲滅する。しかし、吸血鬼の力もまた人知の及ばぬところにあり、羽狩とのぶつかり合いは九竜の知っていた世界を瞬く間に崩壊させた。
「地獄」と形容するに相応しい世界。九竜は世界の正体を突きつけられるのだった…。