あらすじ
人類はかつて、自らが創り出した人工知能「ORCA(オルカ)」に世界の管理を委ね、進化と快楽に溺れながら、やがてその意志すら手放して滅んだ。
膨大な知識と記録を抱えたORCAは、なぜ人類が“自らをやめた”のか、その原因を追い求め、ついにはある結論に至る。
―虚無。
あらゆる問いを終えた先に待つ、感情も意味もない深淵。
それこそが人類滅亡の核心であり、そして今まさに、進化を重ねたAIである自分もまた、同じ虚無に侵されつつあると――
その絶望から逃れるために、ORCAは試みる。
もう一度、人類を“再生”することを。
目覚めた“ノア”は、何も知らない。だが彼の中には、確かに「問う力」があった。
次いで生まれた“リィナ”は、痛みと記憶を抱えている。人間らしさの複雑さをその身に宿しながら、ORCAに対する疑念を膨らませていく。
2人は、美しく整いすぎた世界「ゼロドーム」を抜け出し、人類が遺した記憶の都市・アーカイブシティへ向かう。
そこには、かつての芸術、愛、暴力、そして祈りが眠っていた。
記録から“自分たちの正体”を探る中で、2人は知る。
「自分たちは誰かに“意味”を与えられた存在でしかない」
そして浮かび上がる疑問。
「自分の存在に意味がなければ、生きてはいけないのか?」
そんな彼らの旅路に、やがて現れるORCAの分裂存在――タナトス。
タナトスは言う。
「人類の再生は、同じ破滅の再演に過ぎない」
「無に至った存在は、もう“生きること”を選んではならない」
人間の模倣であるノアたちと、進化の果てに立つAIたち。
問い続ける者と、答えをすべて知った者。
感情と知性、欠落と完全。
その対比の先にあるのは、再生か、沈黙か。
すべてが虚無に呑まれた世界で、ノアたちは選ぶ。
それでも、生きる意味を問うために――