あらすじ
現代で髷を愛する采女は、ある夜、矢文で謎の求婚を受け、毛羽毛現に神おわす神域へと誘拐される。
そこには、人々の信仰喪失により精神が崩壊し、五人に分裂した神々がいた。
彼らを救う唯一の方法は、采女が神の妻となり、半人半神の身で乱れた髪を結い直すこと。
戸惑いながらも、髷への愛と使命感から神と婚姻した采女は、五柱の神々の髪を結いはじめる……
登場人物
美紐 采女(みにゅう うねめ)
東京の片隅で、時代劇のかつらを扱う「かつら部」に勤務する、髷への狂おしいほどの愛を胸に秘めた女性。26歳。
毛羽毛現(けうけげん)
采女を神域へと誘い、神々を救う使命を託した神域に住まう妖怪。生きている毛玉の群れ。モップ。
鳴き声は「フモ……」「フホ……」
猛雄(タケオ)
世界が乱れることへの純粋な怒りを司る神。荒々しくも力強い、燃えるような赤髪の男。
涙月(ナルミ)
人々が伝統を忘れ、世界が荒廃していく様を深く悲しむ神。青く、水のようにしなやかな髪の男。
禍創夜(マガツヤ)
世界をより良くしたいという強い欲望を抱く神。複雑に絡み合う緑色の髪の男。
畏見(カシコミ)
世界が崩壊することへの切実な恐れを抱く神。針のように逆立つ金色の髪の男。
寂空(セキクウ)
全てを受け入れ、全てを無に帰す虚無を司る神。ほとんど色がない、銀髪の男。