あらすじ
伯爵令嬢の私、アリア。
王太子殿下の婚約者であり、国で唯一の聖女。聞こえはいいけれど、実際は『お飾り』。
家族からは「お前は出来損ないだから、せめて国の役に立て」と虐げられ、婚約者の王太子殿下は、私の実の妹であるリリアばかりを可愛がり、私には見向きもしない。
「紹介しよう。リリアこそが、真の聖女であり、私の愛する女性だ」
ある夜会で、王太子はそう言って私との婚約破棄を宣言した。
家族も、周りの誰もが、私を嘲笑う。
もう、ここには私の居場所はない。全てを諦め、絶望した私の元に、一通の釣書が届く。
相手は、敵国ガルヴァニアの公爵、“氷血公爵”アレクシス。
戦場では鬼神、女遊びは激しく、冷酷非情で誰も愛さないと噂の男。
厄介払いのための、生贄同然の政略結婚。
――でも、好都合だわ。
もう誰にも期待せず、愛されず、静かに生きていこう。そう決意して嫁いでみれば…
「ようこそ、俺の花嫁。ずっと、お前だけが欲しかった」
待っていたのは、噂とは真逆の、私だけを熱く見つめ、蕩けるほどに甘やかす旦那様の姿だった。
美味しい食事、ふかふかのベッド、美しいドレス。私が今まで知らなかった幸せな日々。
どうやら私、捨てられて嫁いだ方がずっと幸せになれるみたい。
そんなある日、風の噂が届いた。
私を捨てた王国が、偽りの聖女リリアでは手に負えない『災い』に見舞われているらしい。
元婚約者や家族が血相を変えて助けを求めてきても、もう遅い。