あらすじ
これは、『主人公不在』のラブコメ世界でのお話。
夏代燎は、『モブ』だった。これまで人生で何かをできた試しがなく、何もスポットライトが当たる活躍ができず、そんな自分にうんざりしつつも、変えられなかった。
「それは、まさしく君が『モブ』だったからだよ」
そんな彼はある日、不思議な夢を見る。
その夢曰く、ここがラブコメの世界で、自分は本当にそこのモブであるらしい。だからこれまでの人生で何も活躍できなかったのだと。
そんなことがあるかと最初は信じなかったのだが……
「──どうやら『メインヒロイン』らしい、天瀬ほたるです!」
その翌日。同じ『ここがラブコメ世界である』知識を持つ、その世界でメインヒロインだったらしい美少女天瀬ほたると出会ってから、燎の人生は変わり始める。
「わたしがヒロイン? 違うね、わたしは何よりも『わたしの物語の主人公』だ!」
「君もそうでしょ? だったらリベンジだ、みんなで主人公になってやろう!」
どうやら『メインヒロイン』であることに不満らしい彼女に誘われる形で、燎も『主人公』を目指す彼女の挑戦に巻き込まれる。
天真爛漫で猪突猛進。そして……『自分はヒロインではない』と言いつつも燎の前では時折誰よりも魅力的な愛らしい部分を見せてくる彼女に、燎は徐々に惹かれていく。
そして、ほたるの方も……
「わたしは『ヒロイン』じゃないけど。……それでも女の子では、あるんだけどなー」
本当はできるか不安だった、与えられた役割を超えて『主人公』を目指す彼女の挑戦についてきてくれて、時に悩んだり情けないところを見せながらも成長していく燎に対して、少しずつ特別な感情を抱き始める。
これは、そんなお話。主人公がいないラブコメ世界で、主人公になれなかった人たちが必死に頑張って、与えられた役割なんて知ったことかと跳ね飛ばして。皆が最高の『主人公』になるお話。
そして──だからこそ。『モブ』も『メインヒロイン』も関係ない。
主人公の少年と、主人公の少女の、恋のお話……でも、あるかもしれない。