あらすじ
東京——ではないが、それに似た喧騒と雑多な欲望が渦巻く大都会、札幌。
その駅前、一等地の一角に、妙に浮いている古びたオフィスビルがあった。
雨の日でも濡れない場所にありながら、人の気配がまったくない。
不動産情報にも載っていない、誰がどう見ても「触れてはいけない系」のビル。
そんな場所に、ある日突然、女神が降臨した。
誰も気づかない。そもそも気づけるはずもない。
この世界に存在しない魔力の波動は、人間の感覚ではただの「違和感」でしかないのだから。
彼女は言った。
「……もう、帰れないのね。だったら……この世界で、生きてみるしかないか」
そして、女神は扉を開けた。無人のビルの中へ。
まるで、それがずっと昔から彼女のものだったかのように。