あらすじ
遥かな未来。地球は文明崩壊により放棄され、人類の生存圏は宇宙ステーション群「銀河環〈ライブラリング〉」に移された。
そこでは声による言語が退化・消失し、代わりに思念を共有する会話様式が普及している。
人々は「話す」ことをやめ、言葉は記録の中にのみ存在する“死んだ遺物”となった。
だが今、ライブラリングを支えてきた言語データバンクの崩壊が始まり、記録された言葉さえも消えつつある。
このままでは、文化も、歴史も、思考そのものも霧散してしまう。
その未来を食い止めるため、“記録の詠唱”という特殊能力を持つ少女・ルナが地球へと送り込まれる。
目的地は、廃墟と化した地球最古の言語記録拠点である地球旧文明第七記録圏“アーカイヴE-7”――通称:『図書館』。
そこに、消えかけた言語と記憶の“源泉”が眠っているという。
地球に降下したルナは、音を使って話す必要に迫られ、かつての音声言語を補完するAI支援によって発声する。
しかしその言葉は文法も語彙も不安定で、時に奇妙で滑稽ですらある。
そんな彼女の前に現れたのが、自らを“魔法使い”と名乗る少年——カナタだった。
※全17話(4万字程度)の中編です