あらすじ

赤髪を靡かせ、天を仰ぎ、禁忌の力で宙に触れた者がいた。この星は業火に呑まれ、宙は赤く染まり、大地は割れ、海は煮えたぎり、万象は灰燼と化した。絶望が世界を包み、永劫の闇が訪れようとしたその時――月の彼方より、三つの光がこの地へ舞い降りた。月の神の御遣いである。月の御遣いらは、その手に緋色の結晶――”緋石”をたずさえ、この滅びの地に希望の光を灯した。緋石は失われたすべてを再生した。黒煙が立ち込める空はその青さを、焦土と化した大地は緑を、死の海は生命の息吹を取り戻した。人々は在りし日の世界に感謝を捧げ、月の御遣いらを神の化身として崇め奉った。 月の御遣いの緋石によって世界が再生して以来、赤髪は終焉を導く者の証として今日に至るまで忌み嫌われ、迫害の対象となっている。 どこにでもある神話に登場する悪役と同じ赤髪を持つ少女、籠目トウカは、社会に甚大な被害を及ぼす”祟リ”から、”神殺シ”の力で国民を守る”緋龍ノ御遣い”の一員である。 ある日、彼女は任務中に驚愕の光景を目にする。それは自分と瓜二つの青年との出会い。そして彼は十年前に死んだと聞かされていた兄、トウヤだと名乗った。 「よくできたクローンだな。悪趣味だ」 「だから言ってるでしょ? 彼は正真正銘、貴女の兄よ」 これは自らの正体も知らぬまま、残酷な運命に導かれる兄妹の話である。

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小説を読もう2025/04/04
  • 現在の作品黄昏ノ緋龍、慟哭のヴァスパティーナ