あらすじ
【このシリーズは、ある学園にまつわる“時の断片”を集めた物語集です。
毎回登場人物は違っていても、誰もがあの坂を登り、教室に座り、そしてそれぞれの春を迎えていきます。
それは、ある人の物語ではなく——あなたの記憶の、どこかにもある光景かもしれません。
どのシリーズからでもお読み頂けます。】
「私なんかが、主役なんて……」演劇部に憧れて入部したものの、自信の欠片もない一年生・朝日奈つかさ。大抜擢された学園祭公演の主役の重圧に、彼女は押し潰されそうになる。そんな彼女を舞台袖から見つめるのは、無口な舞台装置担当の二年生・伊吹沙良。彼女の演技に対する厳しい視線は、つかさをさらに追い詰める。しかし、伊吹もまた、かつて舞台に焦がれた元・看板役者だった。ある夜、舞台袖で交わされた言葉が、凍てついていた二人の心を、そして運命を、静かに溶かし始める――。光と影が交差する舞台で、本当の自分を見つける青春群像劇。