あらすじ

心臓に重い病を抱え、未来への希望を諦観で塗り固めて生きる高校二年生の少女、水瀬葵(みなせ あおい)。彼女にとって、息苦しい日々の中で唯一安らぎを得られるのは、スケッチブックに絵を描いている瞬間だけだった。 新学期の教室。葵の目に映ったのは、太陽のように眩しく、誰からも愛されるクラスの中心人物、陽向蓮(ひなた れん)。住む世界が違う――そう感じ、自ら距離を置いていた葵だったが、蓮からサッカー部の部員募集ポスターの制作を依頼されたことで、二人の世界は予期せず交錯し始める。 一度は自分の病と自信のなさから断る葵だったが、蓮の真っ直ぐで純粋な想いに触れ、震える手で絵筆を取ることを決意する。放課後の美術準備室で過ごす時間、彼の屈託のない笑顔と言葉は、固く閉ざされた葵の心を少しずつ溶かしていく。 しかし、蓮への想いが募るほど、自分の身体を蝕む病という残酷な現実と、彼に嘘をつき続けなければならない罪悪感が、葵の心を容赦なく締め付ける。そんな中、降りしきる夕立の日に蓮の前で倒れてしまった葵は、彼の底知れない優しさに触れ、堪えきれずに涙を流してしまう。 自分の命が長くはないと悟っている葵と、一点の曇りもない生命力で輝く蓮。あまりにも対照的な二人が織りなす、切なくて、どこまでも優しい恋の物語が、今、静かに幕を開ける。

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カクヨム
カクヨム2025/06/02
  • 現在の作品君の涙は、わたしの心臓(こころ)に咲いた花