あらすじ

その店は、いつもどこかに、ひっそりとある。ふらりと現れ、何かを抱える者たちのために明かりを灯もしている。
昼と夜の狭間、人と人の間、迷いと悟りの境目に。

名前は「壺中天(こちゅうてん)」。
──居酒屋であり、楽屋であり、時に駆け込み寺のようでもある、不思議な空間だ。

カウンターの内に立つのは、「酔夢庵 笑悟(すいむあん しょうご)」と名乗る、どこかしら世離れした店主。
今日も暖簾をくぐって現れるのは、怒りに火を灯した明王、疲れた心を携えた旅僧、過去を背負った迷い人……。

壺中天に訪れる者たちは皆、何かを抱え、何かを求めてやって来る。
酒を呑み、料理を味わい、ぽつりぽつりと語るうち──
ふとしたひとことに、ふいにこぼれた笑いに、心がやわらいでゆく。

「勘定は?」
「もういただきましたよ。怒り、けっこう小さくなったでしょ?」

まるで禅問答のようでいて、実にまっとう。
壺中天は、“ほっこり”とも“じんわり”とも、酔わせてくれる。

これは、人と人のあわいに灯る、小さな仏法酒場の物語。

各話ごとにレシピ付き。食べたいときにはお使いください。

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アルファポリス
アルファポリス2025/06/03
  • 現在の作品居酒屋・壺中天 〜夜酒手控え帖 〜