あらすじ
1894年。明治27年の夏。
東北地方のとある地方にある農村。
そこの地主の娘である私、佐々岡《ささおか》うたは来月17歳になる。
特に大好きな叔父様からの「おめでとう」と言う言葉と共に、優しく頭を撫でて頂く時。
その時の身体に叔父様の体温が染み入るような……その瞬間が愛しかった。
でも、そんな誕生日は生まれて初めて苦痛と不安に満ちたものとなる。
その日。私は離れた場所へ嫁ぐから。
愛って何だろう?
好きな人との結婚って?
そんな気持ちに憧れを持ちながらも、お母様やお姉さまのように与えられた中から幸せを見つけよう。
そう思っていたある日。
全ては崩れた。
叔父様と下女(げじょ)の千代。
二人が廃屋の中で行っていたこと。
聞こえる声。
二人の言葉。
私の全てをあざ笑う声、声、声。
いいよ? もっと笑って。
愚かな私を。
その代わり、私にも聞かせてよ。
ちょっとくらい、いいよね?