あらすじ
本能寺の変の前夜、六月一日の宵。
本能寺の奥座敷にて、織田信長と森蘭丸は他愛ない会話を交わしながら夕餉をともにする。
天気、夢、家族の話、かつての戦の記憶、安土の噂話――
静かで、温かく、どこか切ない時間がゆっくりと流れる。
だが、蘭丸はその背後にじわじわと迫る「終わり」の気配を感じ取っている。
信長自身もまた、薄々そのことに気づいているのではないか――
しかし、互いに口には出さず、静かな夜を壊さぬように過ごす。
やがて夜は更け、灯りが消える。
襲撃の火はまだ遠い。
だが、すでに主従の世界は、終焉の予兆に包まれていた――。