あらすじ

霞がかった朝みたいに、わたしの世界はいつもどこかぼんやりとしていた。 「普通」って、どんな色で、どんな手触りなんだろう。 わたしは、その答えを知らないまま、ただ息を潜めるように生きてきた。 笑顔の仮面を貼り付けて、当たり障りのない言葉を選んで、完璧な「良い子」を演じ続ける日々。だって、そうしないと、この世界は簡単にわたしを見捨ててしまうから。 冷たい部屋の記憶と、陽だまりみたいだった彼の温もり。 失ったものばかりを数えていたわたしが、春の風に背中を押されるようにしてたどり着いた、新しい場所。 そこで出会った、太陽みたいなあの子。 彼女の眩しさに焦がれて、手を伸ばしたいのに、また拒絶されるのが怖くて、指先が震える。 この分厚い仮面の下には、何があるんだろう。 空っぽの心? それとも、臆病なだけの、ちっぽけな本当のわたし? 息苦しさの向こう側、霞の晴れた先に、わたしは、いつかたどり着けるのだろうか。 これは、そんなわたしの、不器用で、切なくて、でもほんの少しだけ温かいかもしれない、心の物語。

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カクヨム
カクヨム2025/05/28
  • 現在の作品霞の向こうの、わたし