あらすじ

激しい雨が降りしきる山中、水無月海景(みかげ)は絶望の淵にいた。全てを失った後悔と悲しみに沈み、自ら命を絶とうとしたその直後、意識は途切れる。 次に目覚めたのは、静かな病院のベッドの上。傷だらけの身体、そして何よりも――自分に関する一切の記憶を失っていた。名前以外、家族も、友人も、恋人の存在さえも思い出せない。なぜ山にいたのか、なぜナイフが刺さっていたのか。霧に包まれたような記憶喪失の状態の中、海景は静かに不安と向き合う。 やがて眠りに落ちた彼は、夢の中で「死神」を名乗る謎の女と出会う。彼女はかつて交わされたという契約を持ち出し、記憶と引き換えに、命を懸けた「試練」への参加を強制してくる。それは、自分を殺しに来る“人形”と戦い、生き残れば記憶の一部を取り戻せるという、狂気のゲームだった。 現実世界でもその影は忍び寄る。夜の病院、医師・前田の姿を借りた“人形”が現れ、海景の命を狙う。命の恩人を前に、戦うか死ぬかという究極の選択を突きつけられた海景の中で、封じられた「記憶の扉」がわずかに軋み始める――。

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カクヨム
カクヨム2025/05/15
  • 現在の作品水の中の月、鏡の中の花