あらすじ
まもなく三十五歳を迎える外資系金融マン、氷室蒼涼。エリートとして、美貌と財産には恵まれていたが、心の空白を刹那の快楽で埋める日々を送っていた。しかし、ある日突然、彼の肉体に異変が生じる。信じがたいほど急速な老化――それはまるで、「失われた時間の回廊」を、逆戻りもできずに彷徨いはじめるような感覚だった。
そんな絶望のさなか、彼は一つの謎めいた媚薬と出会う。それは若さと健康を瞬く間に取り戻させる、奇跡の秘薬だった。
だが、喜びも束の間、その代償はじわじわと彼の人生を侵食しはじめる。鏡の奥に見え隠れするのは、欲望に取り憑かれた「虚空の影」。若さを取り戻した代償に気づいたとき、氷室の運命は思いもよらぬ方向へと動き出していく――。