あらすじ
中高一貫校の教室の片隅で、僕はいつも息を潜めていた。人見知りで口下手な水沢悠にとって、学校は色のない世界。僕を嘲笑い、支配するクラスの「王」、風間翼と取り巻きたちによる陰湿ないじめが、僕の日常だった。誰も助けてくれない。僕は、ただ耐えることしかできなかった――あの日、天宮陽太が転校してくるまでは。
陽太は、僕とは真逆の存在だった。明るく、常に笑顔で、困っている人を見過ごせない。そんな彼が、迷うことなく僕に手を差し伸べ、暗闇だった僕の日常に、鮮やかな光を灯してくれた。僕は生まれて初めて、「友達」という温かい存在を知った。
しかし、僕を守ろうとする陽太の行動は、翼の目に止まってしまう。やがて、いじめの標的は僕から陽太へと移り、彼は僕が経験した以上の、狡猾で陰湿な嫌がらせを受けるようになる。僕のために傷つき、笑顔の裏で苦しむ陽太の姿に、僕は絶望した。
「今度は僕が、陽太を助ける番だ」
臆病で、何もできなかったはずの僕の心に、これまで感じたことのない強い決意が芽生える。そして、陽太がいじめっ子の罠にはまり、絶体絶命の窮地に陥った時、僕はすべてを懸けて立ち上がった。震える声で、しかし魂を込めて叫んだ、たった一言。「僕の友達は、道具じゃない!」その言葉は、僕の世界を、そして歪んだクラスの空気を、大きく揺るがすことになる――。
これは、たった一人の親友のために、臆病な少年が勇気を振り絞り、自分自身と、そして世界を変える、感動と涙の友情物語。きっと、あなたの心にも、消えることのない光を灯してくれるでしょう。