あらすじ
主人公・銅吉は、銭霊に取りつかれた若き戯作者である。幼い頃、流行り病に苦しむ両親の快癒祈願のために、お百度参りを行ったのがそのきっかけだった。
銭霊は、彼に危機が迫ると、銭を与える。
折しも田沼時代の絶頂期、銅吉は売れっ子戯作者として名を馳せるが、ここ数ヶ月は思うように筆が進まない。そこへ、十両もの大金が部屋の天井から落ちてきた。
近年にない大きな危機を悟った銅吉は、少しでも功徳があればと願い、十両をまとめてこっそりと松森寺(しょうしんじ)の裏庭に投げいれた。そこは、銅吉がお百度参りをした寺であり、両親を失ってからは大人になるまで世話になった場所でもあった。
その日の晩、隣の部屋に住む魚の行商人・太助(たすけ)が飲みにきた。彼は、世間話のネタに、ここ数日噂になっている墓場の話を銅吉に知らせた。
銅吉は、新たな作品の題材に、太助から教わった墓場を用いることにした。まさにそれこそが、銭霊が警告する危機の発端であった。