あらすじ
物語紹介
その背中は、何を語り、何を守ろうとしたのか――。
1945年、終戦。
幼い「わたし」の父は、元軍人。航空部隊の経験もないまま特攻隊に配属され、出撃することなく戦争の終わりを迎えました。しかし、戦火は父から右手を奪い、心には「散れなかった」という深い無念と、周囲からの冷たい視線という消えない傷跡を残します。
寡黙な父と、全てを受け入れようとする母。
「ただいま」「お帰りなさい」――交わされる言葉はそれだけ。それでも確かに通じ合う夫婦の絆の陰で、「わたし」は父の背負うものの重さを感じながら成長していきます。
なぜ父は多くを語らないのか。
なぜ母は全てを許せるのか。
そして、不自由な片腕で「わたし」を抱き上げたあの日の記憶の意味とは――。