あらすじ
一度もキリンを見たことが無い人に、言葉だけでどうすれば「キリン」を説明できるのか、主人公、葛西拓実は頭を悩ませていた。一ヶ月ほど前、拓実の姉はもうすぐ視力を失ってしまうことが分かった。これまで旅行や映画を趣味にしていた姉にとって、目が見えなくなるということは、これからの人生を否定されたような恐怖だった。姉のそうした感情を理解しながらも、何も出来なかった拓実。
そうしたある日、視覚障害を持つ人に言葉で情景を「翻訳」するという仕事に出会う。大人になってからは決して仲の良い姉弟ではなく、視覚障害にもボランティアにも縁がなかった拓実だが、どんな言葉を使えば、目の前の景色や人の感情を伝えることができるのか、「言葉を巡るミステリー」に足を踏み入れていく。