あらすじ
物語紹介:『灰色の空、見えない星』
本名、佐藤七海。作家を夢見る彼女は、憧れのファッションデザイナーから名を借り「志乃原七海」としてペンを執る。
地元・秋田から夢を追い上京したものの、現実は過酷だ。派遣社員としての日々は不安定で、派遣切りや不条理ないじめに心をすり減らす。
かつて、手書きの原稿を抱えて出版社を回った時代。門前払いは当たり前、時には目の前で原稿をゴミ箱に投げ捨てられる屈辱も味わった。
そして、生活もままならぬ状況で掴もうとした作家への道は、さらに暗い影を落とす。編集部の権力者からのセクハラ、「売れたいんだろ?」という露骨な誘い――。彼女は進退をかけ、魂を差し出すような選択を迫られたこともあった。
「本当に悔しかった」
その言葉に込められた絶望と怒りを胸に、それでも七海はペンを折らない。
これは、社会の不条理と業界の暗部に翻弄されながらも、失われた尊厳を取り戻し、ただひたすらに「書くこと」で自分自身を証明しようとする一人の女性の、痛ましくも力強い再生の物語。
佐藤七海が、「志乃原七海」として本当の星を見つけるまでの軌跡が、今、始まる。