あらすじ
婚約者のラインハルトに婚約破棄された悪役令嬢のクロエは家を追い出される、クロエは凍てつく風の吹きすさぶ森の中で、力尽きかけていた。だが、その時彼女の前に現れたのが、漆黒の鱗に金の瞳を持つ一匹の巨大な竜――ダルクだった。
「人間よ、なぜこんなところにいる?」
低く響く声に驚きながらも、クロエは恐れることなく顔を上げた。「家を追い出されたの。行くあてもなくて……」
ダルクはじっと彼女を見つめた。その瞳には、かつて多くの人間に恐れられ、裏切られてきた哀しみと、それでもなお失われなかった温かさが宿っていた。
「ならば、我が住処へ来い。命を救った代わりに、しばし共に過ごせ」
クロエは躊躇ったが、逃れる術はなかった。竜の背に乗せられた彼女は、空を舞い、邪竜が住まうという“黒曜の谷”へと向かう。
そして始まるのは、人々に恐れられし竜と、すべてを失った元令嬢の、不思議な共生生活。だが、それはやがて王国を揺るがす運命の序章でもあった――。